あなたの大切なものは何ですか?
先輩からもらったベッド
黒木結

大学の近くに引越しをしたとき、同じく近くに住んでいる先輩が卒業を機に引越しをするため、いらなくなったベッドをくれた。ケーヨーデイツーで購入したというそのベッドはとてもシンプルで簡易な作りをしていたのだけど、わたしにとっては自由の象徴だった。実家で生活をしているときは、休みの日でもふとんでずっと寝ていると「いつまで寝てるの」と言われていたし、ごろごろしているのは良くないことだと思っていた。ひとりの生活が始まると、ベッドはわたしの家のすべてだったり、アトリエだったり、机だったりした。考え事や読書はベッドが一番はかどるし、一番集中できる場所だった。わたしは初めての一人暮らしから何度か引越しを経て、今はこのベッドを使っていないのだけれど、このベッドのおかげで、「ベッドで過ごす時間は自由!」ということに気付いたのは大きな大発見だったなあと思っている。